テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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「おい、ジロジロ見るな!」

 先輩放送作家のKさんは、普段はおどけたお調子者なのだが、この時ばかりは真剣な表情で鋭い声を発して、私を注意した。
 
 テレビ業界には、タブーが多く存在する。
 例えば、“共演NG”。
 犬猿の仲と呼ばれている2人を画面に並ばせることはできない。
 だから我々作家も、番組のキャスティング案を出す時はそのあたりをよく考えて 提案する。
 でなければ、考えに考え抜いたアイディアも徒労に終わってしまうからだ。

 “アイドルの恋愛話”もタブーだ。
 アイドルには恋人がいない。いや、いないハズ…。うーん、いないことになっている。
 だから、ファンを失望させるような発言は決してしてはならないし、関係者もさせてはならない。
 台本にも、恋愛を想像させるような文句は、載せておかないに限る。
 妄想はOKだが、過去の恋愛や現在進行形の相手の存在を匂わす発言をさせないように、細心の注意を払わなければならない。
 もっとも、そういうフレーズを台本に載せても、マネージャーからの厳しいチェックがあるのだが…。  

 そして、もっとも厄介なタブーがある。 それは、“カツラ”だ。
 この業界に入って、なぜ芸能人はお金があるのに、周囲にバレバレのカツラを被っているのだろうとしばし思うことがある。
 お金をかけて、もっと分からない自然なカツラを被れば、周囲も神経を尖らせずに 済むのにと思うのだが…。
 “頭隠して尻隠さず”とは言うが、芸能界には“頭隠しても 頭隠せず“の人たちがじつに多いのだ。

 1本目の番組収録が終了し、我々はタレントの楽屋付近で無駄話をしていた時のことである。
 歌手のNさんが楽屋に戻ってきた。
 Nさんは歌も歌えば、芝居もするしバラエティもこなすマルチな人だ。
 収録が盛り上ったこともあり、大量に汗をかき、やけに濡れている襟足部分が目立つ。
 その姿に気付いたメイクさんが、気を利かせてNさんの汗を拭おうと手を伸ばしたその時だった。

「いいよ。いいから! いいって言ってるだろ!!」

 スタジオの廊下中に響く、Nさんの怒声。
 そこにいた誰もがその声に驚き、Nさんのほうに視線を移す。
 ほとんどの人が、何が起こったのか分からない状態の中、Nさんは 楽屋へと消えた。

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