テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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  午後4時、北関東にあるM町、オレはロケバスの中にいる。

  一部のスタッフと出演者が、それぞれ自分の席に座って撮影の準備を待っている。
  もうかれこれ、50分以上はこの状態が続いているだろうか。

  最初こそみんな軽口を叩き合い、場は和やかなムードであったが、先程から普段温和な男性タレントのHさんがイライラしているのが伝わってくる。

  女性タレントのMさんは、ロケバスの中に漂うそんな雰囲気の悪さに居たたまれなくなったのか、寒空の中、マネージャーと車外へと出ていった。
  おそらく、タバコを一服するのだろう。
  彼女がヘビースモーカーということは、業界内では広く知られている。

  こういう時こそ、プロデューサーの出番だ。
  どうってことのない話題をさもスゴイことのように大げさに話し、バカを演じながら場を盛り上げる。

  しかし、その得意の話術ももはや効かなくなっていた。
  ロケバスの中にいるみながみな、何で待たされているのか分からないという、最悪の“待ち”になっていたためである。

  台本の打ち合わせという名目でロケバスに残されていたオレは、まったく報告に来ないADに苛立ちを覚えながら、ドアを開けてロケ現場へと急ぐ。

   テレビの世界は、何かと待たされることが多い。
  「番組進行の確認待ち」、「照明の調整待ち」、「カメラのセッティング待ち」など、番組作りには制作、技術、美術、メイク、衣装といった多くのスタッフが関わり、また機材も多いので、準備や調整にも時間がかかる。

  それに加えて、「トイレ待ち」、「メイク待ち」、「到着待ち」など出演者に待たされることも。
  中には、大物主演者の「ご機嫌待ち」なんていうのもある。
   この時も、番組プロデューサーが楽屋に入って行き、バカ話をしてプライドの高い女優さんの心を解きほぐしていた。

  先輩から聞いた話では、20年近く前には、「競馬の結果待ち」というのまであったらしい。
  競馬が大好きな歌手のYさんが、公開収録の本番前、ちょうど馬券を買っているレースがスタートしたということで、楽屋に迎えに行ったADに「ちょっと待って。3分くらいで終わるから」と言ったとか。
  その報告を受けたプロデューサーも「それなら仕方がない」と了承したそうだ。

  そんなことが許される牧歌的な雰囲気が、かつてのテレビ界にはあったのである。

  さて、ロケ現場に着いたオレは、何の準備にこんなに時間がかかっているのか問い質そうとADの姿を探すものの、なかなか見つからない。

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