テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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  午後10時過ぎ、オレは下北沢の居酒屋であるお笑いコンビのライブ後の打ち上げに参加していた。

  目の前に座るのは、今夜の主役でツッコミを担当しているF。

  一方、ボケ担当の相方Kは離れた席で、モデル風のスレンダー美女を相手に面白トークを炸裂させている。

  聞くところによると、その美女はKの中学時代の同級生。
  1ヵ月ほど前、たまたま入った飲食店で15年ぶりに再会し、この日のライブに招待したらしい。

  Kの声は、離れた我々の席まで届く。
  ライブ後の高揚感とアルコール、そして何よりも今夜の舞台で同級生に良いところを見せることができたという達成感が、いつも以上にKを饒舌(じょうぜつ)にさせていた。
  まあ、美女の推定Dカップの胸元も、そこに多少加味されているのだろう。

  そんなKのご機嫌な様子を遠目で眺めながら、Fはため息交じりにオレにグチる。

「アイツ、ネタは書かないし、遅刻は多いし、女にだらしなくて困っているんですよ。今日だって、ライブの最終打ち合わせをすっぽかして、あのネエちゃんのアテンドを優先させてるし。真面目にやっているこっちがバカバカしくて…」

  お笑いコンビは総じて仲が悪い。
  夫婦だって、恋人だって、付き合いが長くなってくれば、最初のトキメキは薄れていく。
  それと同じで、コンビも芸歴が長くなってくると、お互いに腹の立つところばかりが目につくようになる。

  売れっ子コンビになると、夫婦の倦怠期の回避ではないが、コンビ同誌の無用な衝突を避けるため、楽屋や移動の車を別にしたり、それぞれに担当マネージャーをつけたりする。
  出演番組の打ち合わせを別々に行うケースさえ珍しくない。

  FとKはコンビ歴13年。
  いわゆるお笑い養成所で知り合い、コンビを結成。
  大手事務所に所属しているものの、テレビに多少出る程度で、知名度はそれほど高くない。

  根が真面目なFはこの頃、伸び悩んでいる自分たちの先行きにかなり不安を抱えていた。

  得てして、こういうコンビほど自分たちがブレイクしない原因が、相方にあるのではと疑念を抱くようになり、徐々にその関係がギクシャクしてくる。

  宴もたけなわになる頃、彼らの先輩芸人Aが、モデル風のDカップ美女をイジり出した。 たわいもない冗談とツッコミで、彼女も笑っている。

  そこへ、酒がかなり入っているFも加わってきた。
  下ネタこそ織り交ぜているが、どぎついレベルではなく、やはり彼女は笑顔で受け答えしている。

  ところが、突然怒りの形相でKが立ち上がると、そのままFの元へと近づき、胸倉を掴んだ。

「てめぇ、オレのダチをバカにしやがって!」

  大きな怒鳴り声が響き渡り、店内に緊張が走る。

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