テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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「また、飲みましょう!」

  トレードマークだった長髪をバッサリと切ったAは、そう言って地下鉄の駅へと向かって行った。

  彼は元同業者。そう、「放送作家」だったのだが、今春から異業種へ転職した。

  世間では、テレビ番組の構成を手掛ける「放送作家」とは、どんなイメージなのだろうか?

  番組の会議で適当なことをしゃべって、高いギャラを貰っているラクな商売と思っている人もいるだろう。
  可愛いアイドルや人気タレントに会えて、ともすれば仲良くなれるうやましい仕事だと思っている人もいるかもしれない。

  しかし、現実は甘くない。

  “売れっ子”と呼ばれる「放送作家」は何本もレギュラー番組を持ち、それこそ人気タレント並みの収入を得ている。
  だが、それはほんの一握りで、大半の「放送作家」は食っていくのがやっとだ。
 
  同年代のサラリーマンと同程度に稼いでいたとしても、費用対効果を考えると割に合わない商売と言える。
  拘束時間は長く、急な依頼も多いので、プライベートのスケジュールが立てにくい。
  おまけに、一度にすべてのレギュラー番組を失うと、一瞬にして“無職”や“無収入”になってしまうというリスクもあるのだ。

  売れっ子作家とて高収入ではあるが、それを使う時間がないくらい忙しく、40代を越えたあたりで病気になる人も多い。
  だから決して世間が思うほど、ラクな商売ではない。

  Aはお笑い芸人のSの“座付き作家”をやっていた。
  “座付き”とは、いわば人気タレントの専属の作家で、最も気心の知れたスタッフ、ブレーンとも言える存在だ。

  Aは多忙なSのために必死に働いた。
  Sのレギュラー番組の構成はもちろん、本番ギリギリまで、Sが番組で気の利いたコメントをしゃべれるように考えたり、Sの著書のゴーストライターまで務めていた。

  優秀な作家だったと思う。
  しかし、いかんせん食えなかった。

  突如、Sの番組が減り、それと同時にAの収入も激減。
  そうした中、テレビ業界でこれまで培った人脈を使って他の仕事を探そうともしたが、Sはそれを許さなかった。

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