テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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「アイツ、なんでクビにならないんだ?」

  ディレクターのYが、ADのKをしかりつけている様子を見ていた、放送作家のTさんはあきれ顔でそうつぶやいた。

  どの世界にも言えることだが、仕事というのは誰でもはじめは上手くいかないもので、先輩から叱られ、怒鳴られ、教えられ、覚えていくものだ。
  かくいう私も、初めて台本を書いた時は、一晩徹夜してもオープニングのMCとアシスタントとのやり取りのくだりがまったく書けなかった。
 
  Kはかれこれウチの番組を担当するようになって、1年半が経とうというのに、まったく仕事ができない。
  収録でモノを出すタイミングが遅かったり、用意しておくハズだった小道具を買っていなかったり、揚げ句の果てにはロケ現場でゴルフカートに乗って事故を起こすという大失態もやらかしている。
  できないのならできないなりに、出演者やスタッフとコミュニケーションを取りながら、明るく元気に現場を盛り上げようとするくらいの努力はして欲しいものなのだが、いかんせん覇気もないのだ。

  しかも、番組の打ち上げで、あるタレントさんが気を使って、スタッフ一人ひとりに料理を取り分けてくれた時に、「僕、さっきお弁当食べたのでいいです」と断るという信じられない不手際も起こしている。

  こうもダメダメなKではあるが、クビにはならない。
  というか、所属している制作会社は彼をクビにできないのだ。

  じつはKは大企業の社長の御曹司なのである。
  ようは大物社長のゴリ押しでこの世界に入ってきた、太い“コネ”を持つADなのだ。
 
  以前には、番組のロケ先に実家のベンツで来たなんてこともあったらしい。
  そういう事情もあって、クビを切られず、スタッフとして生き残っているのである。
  大方、「テレビの番組をつくってみたい」と軽い気持ちでパパに頼み込んで、潜り込んできたクチだろう。

  最初こそ、期待を込めて厳しく指導していた周囲のスタッフも、このところはあきれ返っている。
  かつてはKに散々怒鳴り声をあげていたディレクターのYも、最近はめったに怒りもしなくなった。
  プロデューサーに、別のADに変えて欲しいと再三直談判しているが、願いはかなっていない。

  見渡せば、テレビ業界は“コネ採用”がいまだに跋扈(ばっこ)している。
  タレントはもちろん、テレビ各局には芸能人の2世が数多く働いている。
  そして、大手広告代理店には大手メディアのトップの子息や、大手企業の重役の子女などが働いている。

  もちろん、彼らはある一定のレベルを越えた能力があるからこそ、採用されているのだが、やはり何らかの“ゲタ”を履いていることは想像に難くない。

 テレビ業界に古くから存在する 「コネ採用」の背景には、売れっ子芸能人や大手メディア、大手広告代理店、大手企業のお偉方といった“勝ち組”同士が、将来自分の子供が苦労しないように助け合う、相互扶助の精神があると言われている。

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