テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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  午後3時過ぎ、オレはMAスタジオにいる。
  “MA”とは、“Multi Audio”の略で、編集された映像を盛り上げるため、効果音や音楽、ナレーションをつけていく作業である。
  音効さんが選曲した効果音やBGMを仕込んでいる間、オレの横では放送作家のEが焦りながら、ナレ原(=ナレーション原稿)を書いている。
 
  通常、ナレーションというのは、編集が上がった段階で演出を担当するディレクターが書いた原稿もあるが、それはあくまでもラフであり、最終的には放送作家に任せることが多い。
  予算ギリギリの番組では、ディレクター自ら書くケースもあるが、こちらとしては徹夜続きの編集作業で心も体もボロボロであり、もはや“書く力”も“集中力”も残されていない。
  それに、映像にピッタリとくる言葉を当てはめるには、やはり文章のプロである放送作家には敵わない。
 
  ということで、その道のプロである作家先生の出番となるのだ。

  編集があがった段階で、放送作家のもとに映像がデータで送られ、それを見ながら作家はナレーションを書いていくわけだが、豊かな語彙力と表現力が必要不可欠だ。
  締め切りは最低でも収録までにあげればいいのだが、もちろんこちらもチェックをしておきたいので、早いに越したことはない。

  だが、2時間前に転送されてきたEの原稿は、オレの書いたラフ原稿とほとんど変わっていなかった。
  これでは、仕事を頼んだ意味がない。
  オレはEを急きょ呼び付け、現場で書かせているのだ。

  “てにをは”を直したくらいで、高いギャラをふんだくろうとしたところで、そうは問屋が卸さない。
  最近、忙しくなってきたのか、明らかな手抜きである。

  1時間後、ナレーターのKさんがやってきた。
  彼は、いくつものレギュラーを持つ売れっ子で、毎日テレビからその声が流れてくる。

  Eの原稿が何とか間に合い、オレのチェックを終えてナレーション撮りがはじまる。
  ブースの中でひとりマイクの前に座るKさんが、オレの出す“キッカケ”で原稿を読み上げていく。
  ワンセンテンスごとに録っていくこともあれば、ある程度のブロックをまとめて録っていく場合もある。

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