テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

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 「またタダ働きだったよ」

  会議前のちょっとした雑談の中で、先輩放送作家のYさんはため息をつきながら、そうつぶやいた。

  すべてのテレビ番組は“企画書”から始まる。

  企画書とは、番組意図、内容、構成案、キャスティング案などを記した、まさに番組の設計図である。
  さまざまな意見を集約し、それをまとめて企画書にするのが、放送作家の仕事の一つなのだ。
 
  中には、「中高年が好むサスティブナルな感じでさぁ~」だの、「SNSとのインタラクティブを盛り込んで何かできない?」といった、かなりむちゃぶりな発注もある。
 
  だが、そこは内心、「丸投げかよ!」と毒づきつつも、根っからの“幇間(タイコ)持ち”気質を発揮して、「分かりました」と、笑顔で良い返事を心掛けている。
  恩を売るのも、この商売を継続させる秘訣なのだ。

  キャッチーなコピーと、分かりやすいコンセプト&内容説明、老眼世代にも見やすい字の大きさ、そして色鮮やかな資料画像を盛り込んで、企画書を作り上げていく。
 
  ちなみに、こうした場合はギャラが発生しないことが多く、大抵は企画が通って番組がスタートした際に、構成や台本を担当してもらうという暗黙のルールの上、成り立っている。
  つまり、企画が通らず番組が実現しなければ、いくら徹夜をして書き上げようが、1円にもならず、タダ働きなのである。

  Yさんの書いた企画書もボツになり、楽しみにしていた海釣りを断ってまで時間を費やした労作も、水の泡となってしまった。

  ここで、発注してきたプロデューサーに文句のひとつも言おうものなら、アメリカ次期大統領のトランプ氏の決めゼリフばりに「お前はクビだ!」とレギュラー番組の担当を降ろされてしまうなんてことになりかねない。

  そのあたりをYさんは十分心得ていて、わたしに愚痴を言うに留めたのだ。

  一方で、「何かないか?」と言われ、企画を提出することもある。

  自分の考えた企画が番組として放送されることほど、うれしいことはない。
  テレビマン冥利に尽きるというものだ。

  しかし、企画書というのは、制作会社、テレビ局、広告代理店などさまざまな人の目にさらされると、その都度横やりが入り、書き直しを命じられることが多い。
  「もっと“F1層(20~34歳までの女性)”を意識して」、「MCが弱い」、「動物が欲しいねぇ」、「もっと不幸な人いないの?」「イッテQみたいな」など、さまざまな意見が入り混じってくる。

  結果、最初に自分が面白いと思って書いたことなど、影も形もなくなり、何だか見たことがあるような番組に変身しているのだ。

  しかも、これだけ著作権にうるさくなったご時世にもかかわらず、企画のアイディアに関しては一切それが守られていない。

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